BOOK

舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』第三部〜解決と「○ん○ん」〜

なるほどね、「○ん○ん」ってそういうことでね。スッキリした。スッキリしたがそりゃねえよと愕然としたり。 新潮で延々と続いた名探偵の推理合戦もいよいよ終焉を迎えたと思ったら、思わぬ展開から衝撃のラストへ。やっぱ舞城ですよ。度肝抜き過ぎだっつの。…

佐藤友哉『1000の小説とバックベアード』

日々引越しが云々、忙しい云々、車中泊が多い云々と言うてる僕ですが本は読んでます。趣味は読者とゴミ捨て、成願です、こんばんは。 友人モヤくんに似ている佐藤友哉ですが、この作品は相当すごい。ベストです。 何がすごいって勿論内容なんですが、これは…

冨永昌敬『パビリオン山椒魚』

同名映画の監督自身によるノベライズというか原作本。内容も『伝説の動物国宝、オオサンショウウオのキンジローをめぐって、3つの時代を超えた愛と哄笑のドラマが始まる! 映画『パビリオン山椒魚』の監督が、構想時のストーリーにまで立ち戻って語り直す、…

舞城王太郎『重たさ』

自分の背負いこんでいる〈重たさ〉。その数ある〈重たさ〉を一つ一つ自分で把握していく作業をしていく主人公。それは〈重たさ〉を切り離すんじゃなくて、ただ確認していく。とりあえず確認する。 人間誰しもさまざまな〈重たさ〉を背負っていて、つい先日そ…

煙、土或食物!!!!

前にここで『舞城の「煙か土か食い物」の台湾版が出るらしいので、欲しい!』みたいなことを言っていたら(参照)、友人のたにやん氏が買って来てくれた。 ありがとう! この場を借りてありがとう! たにやん氏は何でか台湾に行っていたらしく、買って来てく…

煙、土或食物!

ケムリズム情報によると舞城王太郎『煙か土か食い物』が台湾で発売されたとのこと。 で、そのタイトルが『煙、土或食物』。 煙、土、或いは食い物。 なんか「或いは」ってとこに学術的なムードが漂うけど、全然マザファッカーなまま海を越えるわけですね。す…

東野圭吾『百夜行』

ドラマをなんとなくしか見てなかったのは、綾瀬はるかの胡散臭さと山田孝之の陰気さ(隠し子問題で揺れてたし)と武田鉄也の粘っこさがなんか食傷気味だったから。 本書を読んだらどれも上手いこと当てはまってるから焦る。先にドラマを見ちゃったので脳内キ…

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』

前回『女王様と私』を読んで、オチに「なんじゃそらああ」ってなって、さらに大オチに凹むという事態になっての歌野晶午三冊目。ま、オチは云々言いましたが『女王様と私』も面白かったんだけど。なんつうか、読みやすい。さくさく読める。 で、評判高い『葉…

山田宗樹『嫌われ松子の一生』

その前に松本竜助さんの冥福をお祈りします。僕にとっては漫才の姿よりも人形劇三国志でのロンロンとしての姿が強いです。 死というのはいつ自分に降りかかってくるのか分からない。人生ってのは数奇なものです。 「下妻物語」の中島哲也監督の最新作『嫌わ…

歌野晶午『女王様と私』

名は体を表す、と云う。 本書の主人公は真藤数馬。 相当イケメンっぽい名前である。 が、真藤数馬はデブでロリでオタな44歳引きこもりである。 名前負け、という言葉があった。 もう名前でひっかけ問題とかやめようよ。劇団ひとりの『陰日向に咲く』でもミキ…

劇団ひとり『陰日向に咲く』

この本の最初の頁を開いてからあっという間に読み終え、最後の頁を閉じるととすぐに最初の頁に戻ってもう一度読み返した。二日で二度読んだ。 『その男、凶暴につき』を劇場で観た時、あまりに面白くて入れ替え制じゃなかったからそのまま三回観た。 『阿修…

恩田陸『ドミノ』

最近オススメられた本。そう言えば初恩田陸。「夜のピクニック」も映画で見ればいいやと実は読んでいなかった。 舞台は東京駅。主人公は27人と1匹。 本書の紹介文によれば『一億の契約書を待つ生保会社のオフィス。下剤を盛られた子役の麻里花。推理力を競い…

筑波昭『津山三十人殺し』

これは日本犯罪史上空前の惨劇と呼ばれた津山事件のルポである。 「津山事件」は昭和13年春、岡山県西加茂村で起きた。それは犯人都井睦雄(22)の手により、たった一晩、それも僅か1時間足らずの間に村民30人が惨殺された驚くべき事件である。 司法省刑事局…

舞城王太郎『めくるめく』

2006年最初に読んだのはやっぱり舞城王太郎で、ファウストVol.6 SIDE-Bに掲載の新作『めくるめく』だ。新年早々舞城の新作が読めるとはなかなかに景気がいい。 主人公の林大樹は魔女っ子バイトをやっている高校三年生。魔女っ子『めくるめく』として大樹が紹…

滝本竜彦『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』

今年最後に読んだ本。お薦められたんだけどタイトルにシャピーンとなった。ナイスタイトルである。滝本竜彦はなんとなく敬遠してたんだけどこれもなんかの縁でございますから。 話は単純明快。 なんでもない平凡な高校2年生の俺・山本陽介。そんな陽介が出会…

舞城王太郎『SPEEDBOY!』

群像掲載の本作は『山ん中の獅見朋成雄』の続編と言っていい作品。まさかまた獅見朋が読めるとは思わなんだ。ラッキーだ。 とは言っても今作に出て来る成雄には名字がない。ただの「成雄」である。「成人のオス」である成雄には背中に鬣が生えていて、100m…

舞城王太郎『ザ・パインハウス・デッド -ディスコ探偵水曜日 第二部-』

テンションが上がる。 やっぱり舞城王太郎の文章に触れると脳のドーパミンだかアドレナリンだかが氾濫分泌してくる。 このうねるグルーヴ。半年以上待った甲斐があった。しかも今月は新作が二本。ラッキー舞城月間である。ニートになって読書したい。←地味。…

リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

関東人のくせに僕も自分の両親をオトン、オカンと呼んでいる。 小さい頃はパパ、ママと呼び、それがお父さん、お母さんになって、思春期にはオヤジ、オフクロと呼ぼうと思ったけどそういうキャラでもなく、でもお父さん、お母さんと呼ぶのはなんだか気恥ずか…

村上龍『半島を出よ』

今からたった6年後、2011年の日本を描いた話。北朝鮮から上陸した高麗遠征軍と名乗る9人の兵士の手により福岡ドームが占拠、日本政府の対応の遅れに乗じて福岡が制圧される。という話。 あまりに近未来な話だから有り得ない気がするけど、これが有り得る。リ…

舞城王太郎新作

講談社『ファウスト』のメルマガによれば、『ファウスト』第六号(SIDE-A→11/28発売、SIDE-B→年内発売)のSIDE-A登場作家は『上遠野浩平、乙一、佐藤友哉、西尾維新』、SIDE-B登場作家は『舞城王太郎、浦賀和宏、北山猛邦、西尾維新』とのこと。ようやく新作…

村上春樹『東京奇譚集』

映画でも本でも「お金出してまで観たく(読みたく)はないけど、けっこう観たい(読みたい)」ものって多い。でもそういうのってビデオになったりブックオフに並んだりする頃にはなんとなく観なくてもよくなってたりする。やはり旬な時に楽しむべきなのであ…

大槻ケンヂ『ロッキン・ホース・バレリーナ』

ロッキン・ホース・バレリーナ (ダ・ヴィンチブックス)作者: 大槻ケンヂ出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2004/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 33回この商品を含むブログ (78件) を見る 僕の中で再燃してるオーケンブーム。これはメジ…

石田衣良『反自殺クラブ』

反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク 5 (池袋ウエストゲートパーク (5))作者: 石田衣良出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/03/10メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (132件) を見る 池袋ウエストゲートパークの第5弾。石田衣良はほ…

『嫌韓流』

マンガ嫌韓流作者: 山野車輪出版社/メーカー: 晋遊舎発売日: 2005/07/26メディア: ムック購入: 16人 クリック: 326回この商品を含むブログ (511件) を見る いろいろ勉強になる。が、なんともコメントしようがない。怖いもん。下手なこと書けない気がする。裏…

石田衣良『アキハバラ@DEEP』

アキハバラ@DEEP作者: 石田衣良出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/11/25メディア: 単行本 クリック: 38回この商品を含むブログ (185件) を見る 石田衣良は「街」を書くのが上手い。「池袋ウエストゲートパーク」ではタイトル通り池袋を、「4TEEN」では…

白岩玄『野ブタ。をプロデュース』

野ブタ。をプロデュース作者: 白岩玄出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/11/20メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 122回この商品を含むブログ (392件) を見る 読もう読もうと思って図書館で予約してたんですが、日テレで秋よりKAT-TUN亀梨和也とNE…

Book Baton

三好氏(http://cultstar.exblog.jp/)より回ってきたBook Baton。いやはやバトンブームである。リレーの時に本をバトンにリレーをしたら本が汗で湿気るだろうし、バン!て渡された時に相当痛い。だから普通に答えてみます。 1.持っている本の冊数 たくさ…

ピューと吹く!ジャガー

ピューと吹く!ジャガー 9 (ジャンプコミックス)作者: うすた京介出版社/メーカー: 集英社発売日: 2005/06/03メディア: コミック購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (163件) を見る なんだかんだで買えなかった『ピューと吹く!ジャガー』9巻をよう…

佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』

佐藤友哉初のハードカバーは短編集。どの作品も主人公は子供であり、佐藤友哉の書く子供たちはみな≪大人≫や≪社会≫といった絶対的な力に対して不信感を持ち従順を拒んでいるように思える。舞城とは似て非なる佐藤友哉の世界には怒りが満ち満ちている。鬱々と…

中島らも『酒気帯び車椅子』

中島らもの遺作は2冊ある。先日読了した『ロカ』が未完の遺作であれば、この『酒気帯び車椅子』は最後に完成された遺作である。“近未来私小説”と銘打たれた『ロカ』は中島らも自身の内面にあるドロドロした全て吐き出さんとするメッセージ性の強い話であり…