大槻ケンヂ『ロッキン・ホース・バレリーナ』

 僕の中で再燃してるオーケンブーム。これはメジャーデビュー目前で初の全国ツアーを敢行する『野原』なるバンドと、なぜか野原に同行することになったゴスロリ姿のビジュアル系おっかけ娘町子の物語。ロッキンホースバレリーナっていうのは町子が履いている靴のこと。つかオーケン作品はタイトルと装丁がいつもいい。大事。
 今回もバンド物だし、最近のオーケンはノスタルジックな感じなのかなとか思うけど、やっぱライブシーンの臨場感とか楽屋の雰囲気だとか、いい。対バンのメンツにさりげなく銀杏BOYZが出て来たりするし。ブログにオダギリジョーって書くだけで食い付きが違うみたいなもんで。
 話は18歳でバカなバンドマン達とか、汚い大人社会とか、町子と耕介との若いぎこちない恋とか、ベタな設定なんだけどそれでこそ作家の腕が試されるというか、オーケンの文章だから面白いというか。さわやか。下ネタや恋愛が多いのにオーケンが照れて書いてる感じがして、さらにさわやか。