山田宗樹『嫌われ松子の一生』
その前に松本竜助さんの冥福をお祈りします。僕にとっては漫才の姿よりも人形劇三国志でのロンロンとしての姿が強いです。
死というのはいつ自分に降りかかってくるのか分からない。人生ってのは数奇なものです。
「下妻物語」の中島哲也監督の最新作『嫌われ松子の一生』の原作が本書である。主演が中谷美紀だってこと以外は予備知識ナシで読んだんだけど、中島監督が選ぶくらいだからどんな破天荒な話かと思ったが、物語は至って真っ当。
大学生の川尻笙はある日存在すら知らなかった叔母・松子が殺されたことを知り、殺害されるに至った松子の生涯を追うことになる。そこには松子の数奇な転落人生が綴られていた。
松子はやることなすこと悪い方に転んでしまう。往々にしてそういう時ってあるけど、松子の場合はそれが生涯を通じてである。転がるのがすべて悪い方悪い方だからたちが悪い。転落っぷりもたちが悪い。
ただ、松子は本当の嫌われ者だったわけではなく「運」というものにに嫌われてただけなんじゃないだろうか。そして「数奇な運命」にだけ嫌われなかったんじゃないだろうか。
人生どうなるか分からない。
決め付けて諦めるのなんて勿体ないから、自分の転がる運命を吟味して咀嚼して、やっぱり楽しんでやりたい。Like a Rolling StoneではなくI like Rolling Rolling Rolling My Lifeで。
そんな風に思う。
まだまだ僕の転がりっぷりは、甘い。
さて、中島監督がこの原作をどう映像化するのか。楽しみでなりませんです。