滝本竜彦『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』


 今年最後に読んだ本。お薦められたんだけどタイトルにシャピーンとなった。ナイスタイトルである。滝本竜彦はなんとなく敬遠してたんだけどこれもなんかの縁でございますから。
 話は単純明快。
 なんでもない平凡な高校2年生の俺・山本陽介。そんな陽介が出会った少女は雪崎絵理は、不死身のチェーンソー男と戦うセーラー服の美少女戦士だった。
 そんな感じ。で、陽介は絵理の戦いを手伝う(自転車漕いでるだけの運転手だけど)ことになって、だんだんとアレがアレしていく、そんなお話。
 と、思いきや侮るなかれ、これがなかなかいい。忘れていた甘酸っぱい青っぽい感覚が蘇ってくるというか、爽やか、つうかいろいろ沸き立つもんがあるってもんでございまして、なんつうか、爽やか。嗚呼、雪の中彼女とチャリンコ2ケツして疾走したい。あわよくば一緒に戦いたい。だって一緒にいたいんだもの。そんな風な健全な気持ちが戻ってくる。
 「セーラー服の美少女戦士」ってワードだけでなんか萌えそうな、引く人は引きそうな感じがするけど、実際男子ってのはそういうのにやっぱ弱いんだね。今もやってるか分かんないけど、10代しゃべり場のオープニングでギャルが日本刀構えてるみたいな。昔はそんなギャル版宮本武蔵みたいな映画作りたいって思ってたのを思い出した。これもひとつの青い春。これ舞台化したいなーとか思ったり。


 世の中ってのは相当面倒で、やりきれないこととか嫌になることばかりだけど、そいつが俺の前に具現化して現れた時、俺はそいつときちんと対峙して目を逸らさずに戦うことが出来るんだろうか。俺にも絵理にとっての陽介のような、そんな支えがあってこそ、人生っていうでかい敵と戦っていけるんじゃないかと、そんな事すら思える。
 年末にいい本読んだ。