冨永昌敬『パビリオン山椒魚』


 同名映画の監督自身によるノベライズというか原作本。内容も『伝説の動物国宝、オオサンショウウオのキンジローをめぐって、3つの時代を超えた愛と哄笑のドラマが始まる! 映画『パビリオン山椒魚』の監督が、構想時のストーリーにまで立ち戻って語り直す、ノベライズを超えたハイパーフィクション。』というくらいで、映画本編のバックボーンな話が展開し、オダジョー演じる飛島芳一も香推由宇演じる二宮あづきもちろっとしか出て来ない。読んでるとあーはんあーはんそういうことねと合点も行きますがこれはもう映画とは別個の物でありストーリーとしては断然映画よりこっちの方が面白い。
 文章もリズミカル町田康風で、久々にセンスあるな、すげーと思える小説でした。名選手が必ずしも名監督になるとは限りませんが王監督しかり星野監督しかり、どっちやっても出来ちゃう人は出来ちゃうわけで冨永監督は野球やってたわけではないけど、もしかしたらやってたかもしれないけど、つうか野球やったことない男子はいないけど、そういう話ではなくて、これ面白いから読んどいた方がいいですよ年内に。


パビリオン山椒魚

パビリオン山椒魚