歌野晶午『女王様と私』

jogantoru2006-03-14



 名は体を表す、と云う。
 本書の主人公は真藤数馬。
 相当イケメンっぽい名前である。
 が、真藤数馬はデブでロリでオタな44歳引きこもりである。
 名前負け、という言葉があった。


 もう名前でひっかけ問題とかやめようよ。劇団ひとりの『陰日向に咲く』でもミキには完全に騙されたし、なんかもう「おうえええええ?」ってなる。そこまでに気付き上げたイメージが吹っ飛ばされてそれを再構築させるのが疲れる。
 いや、引っ掛からなきゃいいって話なんだけど。
 イメージ先行で入るから簡単に騙される。甲本ヒロトも「イメージが大切だ、ええ」と歌っていたのでこれには騙されたと思う。読んでるかは知らないけど。


 で、タイトルを見てずーっと気になってた本書。「女王様」と「私」ですもの。僕はすっかり程よい感じのオサレSM小説なのかと思ってたけど、ミステリーだった。
 また騙された。
 「女王様」は12歳の少女・来未。「私」はもちろんロリデブキモオタ真藤数馬、である。そして数馬は脳内妹の絵夢を人形に投影させてお喋りしてたりする。その絵夢の台詞は「〜だよぉ」とか「でヮ」とかだったりする。ちょっとウザい。そして来未の友達が殺されたりして数馬が事件に巻き込まれていく。みたいな話。あんまり話すとネタバレになるからこんなもんで。
 歌野晶午はこの前初めて『さらわれたい女』を読んで、結構面白かったから、これはもう読んだるかいと、読んだるしあに憧れようかと新書で購入した。
 けど、ぶっちゃけると『さらわれたい女』の方が良かった。
 これはこれで面白いんだけど、大オチがね、気に入らん。
 細かいところとか面白いんだけどね、大オチがね、「そんなかよ、放り投げちゃったよオイ、置いてけぼりだよ俺」となる。ぽかーんである。
 でもこの手法を舞城がやると放り投げちゃったのを追いかける自分がいたりして「ぬーん、してやられた!」とうすら笑いだったりする。
 要は好みだね。
 とりあえず読んでみていいんじゃないの。


 と、僕も放り投げたりしてみる。


 ところで作者の歌野晶午さんだが、この人も名前がかっこいい。
 なんとなく及川光博みたいな。
 そんなイメージ。


 


 実際はこのような方です。
 なんとなく外れてはいないけど、なんとなく今日は頭の中に段田安則がいて困る。

 

女王様と私

女王様と私