歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』


 前回『女王様と私』を読んで、オチに「なんじゃそらああ」ってなって、さらに大オチに凹むという事態になっての歌野晶午三冊目。ま、オチは云々言いましたが『女王様と私』も面白かったんだけど。なんつうか、読みやすい。さくさく読める。
 で、評判高い『葉桜〜』を読んでみた。「このミス」1位だっていうし。
 面白ーい。
 主人公の成瀬将虎(まず名前がかっこいいっつの)は元探偵で今はなんでも屋みたいなことをしている。で、将虎は老人を騙してお金を巻き上げてる悪徳業者を調べたり、偶然自殺を止める事になった麻宮さくらとの恋があったりしつつ、そこに将虎が20歳の時にヤクザに内偵して関わった事件が絡んだりしてきて、それがくんずほぐれず上手いこと繋がっていく。
 上手いすね。当たり前だけど。伏線とか無駄がない。
 最後ね、またオチでは「のええええ!?」ってなって、そこまでイメージしてた映像が全て音を立てて崩れていくんだけど『女王様と私』の時みたいな感じではなく「あーおじさん一本取られたなー」的な、「やーらーれーたー」って素直に言える心地よい感じ。ほんとこの人のこういうトリックは絶対映像化出来ないんじゃないだろうか。

 
 

葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)

葉桜の季節に君を想うということ (本格ミステリ・マスターズ)


 さて、読む物がなくなった。
 早く舞城の新作出ないかな。『REAL MORNING COFFEE』もいいんだけどやっぱ小説が読みたいもの。雑誌『Invitation』に「舞城書下ろし!」ってケムリズム情報があったんで立ち読んだら、また映画の企画出してた。そっか、舞城はいま映画なんだな。でもディスコ探偵第三部が待ち遠しい。