鎌倉のごんごろう
いま僕の携帯に付いているのは写真の「鎌倉のごんごろう」の根付だ。普段携帯にストラップとか付けてなかったんだけど、これはあるルートからしか入手出来ない代物と聞き、付けてみた。
根付。
なんと日本男児的な渋い響き。それに比べて、「ストラップ」なんて軟弱この上ない。お前なんかストラップッププ〜だ。
「ストラップ」を辞書で引いてみると「ひも。かわひも」とあった。
そんだけ!?
全部ひらがな!?
ぷぷ〜。
ストラップッププ〜。
それに比べたら根付には壮大な意味があるんだろう。きっとこう、男は大地に根を張って灼熱の太陽を睨み付けろ的な意味が。
【根付/ねつけ】
印籠・煙草入れ・巾着などの、ひもの先端に付ける小さな細工物。帯にはさんで下げた際のすべりどめを兼ねた一種の装飾品。おびばさみ。
なるほど。要するに、その、簡単に言えば、
昔のストラップだ。
なんか「小さな細工物」なんて書いてあるとすごく切ない存在に思えてくる。
しかーし。
しかし、だ。
この根付に付いている「鎌倉のごんごろう」を調べてみたら、これがまた男前な御仁である。
この人、正確には鎌倉権五郎景政といい、歌舞伎十八番『暫』の主人公。
典型的な荒事【あらごと】の役で、衣裳・鬘・小道具などは力強さを表現するため誇張され、顔には筋隈【すじぐま】を取り、五本車鬢【くるまびん】の鬘、大きく作られている武士の正装大紋【だいもん】を着ている。有名な歌舞伎キャラである。
が、なんとなくしか知らない。見たことはあったけど名前は知らなかった。一瞬氏神一番ストラップかと思ったくらい。
じゃあ、この『暫』という話はどんなだろうか。
お家再興の祈願のため、鎌倉鶴岡八幡宮にやってきた義綱と許婚の桂の前は、清原武衡の一党に言い掛りをつけられる。義綱たちが今まさに殺されそうになった時、
「しばらく、しばらーく」
と大音声とともに花道から現れる鎌倉権五郎景政。打ってかかる家来達をものともせず、紛失していた国主の印や名剣雷丸を見事に取り戻し、景政はゆうゆうと去っていく。
男前やんけ、権五郎。
やはり男はこうでなくては。僕も正義のために生きていかなくてはと改めて思う。
とか、思ったりするわけである。
世の中にはなんとなく知ってるつもりでも知らないことがたくさんある。もしかすると氏神一番だって男前かもしれない。この前24時間マラソンしてたし。ガキの使いだけど。
何気なく付けていた根付だけど、これからも付けていこうと思う。
だって、この根付がないと、
寝付けない。
ダジャレだコノヤロウ!