そして僕は小屋入りする


 保坂尚希が出家したり、夏川純が詐称したり、平家みちよが妊娠したりと面白ネタに乗り遅れながら最終稽古を終え、長かった稽古の日々を懐古していると加護ちゃんが喫煙で解雇されて、そして僕は中野ザ・ポケットに入る。
 どうしても仕事が休めずに朝だけ仕事場に行ってからの小屋入りになったんだけど、もうそうなると温度差歴然でなんだかみんなキャッキャしているところにまたも乗り遅れる我が身の切なさよ。
 仕事したくねーなー。
 ぶっちゃけると僕という人間は絶滅危惧種であり、トキなんか保護してる暇があったら僕を保護してほしい。もうガンガン保護してほしい。もしくは2000万くらい貯金しとけば良かった。フィギュアとか買わなきゃ良かった、小説は文庫が出るまで我慢すれば良かった、いやさ、図書館で借りて写本すれば良かった。
 そんな思いが脳裏をよぎり、何の話だったっけっと考えてみると昨日は小屋入りだったっつう話。でも中野ザ・ポケットは全然小屋じゃなくて劇場だ。「小屋」って聞くと波打ち際に建てられたトタンのほったて小屋で中ではいけないことをしていて男はふんどし姿の原田泰造なんだけど、これは何の記憶だっけ。


 そんなわけで仕込み初日が過ぎ、いまふっと「明日本番じゃん」と思い焦る。焦ることないが。
 早いもんだねハタチを過ぎて今日はおまえの花嫁姿。送る言葉はないけれど風邪をひかずに達者で暮らせ、と歌ったのは芦屋雁之助だが、風邪もひかずに達者に暮らしてきた僕の晴れ姿は見てほしいものでありまして、そんなこんなで劇場に向かっているんですがもうすぐ新宿乗り換えなのでそろそろやめとこう、と思ったいたら「新宿」と「シンジくん」は似てるなあと気付いてしまい、もちろんシンジくんとはエヴァ碇シンジくんで僕は結構本番前にエヴァンゲリオン観ますね、何の参考にもならないが時には暴走したいしトキと僕を保護して欲しいって話になってくるわけで、トキも保護していいっていうのは僕側の相当の譲歩なんだからそこんとこ踏まえてよ政府。



 さてさて、舞台は着々と作られていきます。完成形すごくいいです。