『パプリカ』
僕の体はレム睡眠よりノンレム睡眠の方が幅をきかせているらしく、朝起きて夢を覚えているということがあまりない。ちなみにレム睡眠の「REM」とは「rapid eye movement」の略だそうだ。つまりレム睡眠とは「目がものすごい早さで動いてるのに寝てる」みたいな感じだ。目を開けて寝る人のレム睡眠は、怖い。
僕が見た中で一番怖かったのは、子供の頃に見た夢で、掘りごたつの中でどろどろに溶けていく妹たちを尻目に鬼と化した母親に追いかけられ、川に行く手を阻まれて大ピンチ、必死に「お父さーん!」と叫ぶと「食べちゃったよーん」、ぎゃあああ!みたいな夢なんだけど、果たして人の夢に入れる夢探偵パプリカはそこで僕を救ってくれるんだろうか。孫悟空やティンカーベルに変身して引っ張り上げてくれたらルパンよろしく「あばよ、とっつぁ〜ん」と大空から手を振ってたかもしれない。
パプリカはDCミニという機械を他人夢に入り込むことが出来る。心療内科ってやつでしょうか。トラウマなんかをアレしたりする。しかしながらDCミニはまだ完成に至っておらず、公にはなってない。他者の夢に介入するなんて危険過ぎるからなんだけどそのDCミニが何者に盗まれてしまい、夢を操る夢のようなテロルが始まる。パプリカはそれを食い止めることが出来るのかみたいな話なんだけど、そんなことよりその夢の描写がすごい。なんというか支離滅裂でめちゃめちゃでカラフルで、まあすごい。すごいしか言えない語彙の無さはご勘弁。観りゃ分かるよっつう話である。夢と現実が混同していく世界に妙なリアリズムが垣間見えたりする。
とか、もっともらしいことを言ってるけど要はすごく面白かったのだ。
でもこの映画、僕はかの名作『MIND GAME』の監督の作品だとばかり思ってたけど『MIND GAME』は湯浅政明監督で、こっちは今敏監督だった。ま、結果オーライだけど監督の名前は音読するとコンビンである。ウォン・ビンみたいでかっこいい。嘘である。僕はウォン・ビンをかっこいいとは思ってないし、ウォン・ビンの顔だって知らないのだ。