『初恋』

jogantoru2006-06-17



 三億円事件の実行犯は女子高生だった。


 なんて素晴らしいコピーでしょう。
 見た瞬間に「やられたー」と思いつつ、「絶対に観なくては」と思い、観て来た。


 良かった。


 三億円事件とは
東京都府中市で1968年12月10日に発生した、日本史始まって以来の巨額の現金強奪事件。通称三億円事件等と呼ばれている。犯人の遺した遺留品は120点近くもあり、当初はすぐに逮捕されると思われていたが、それらすべては大量生産品が使用されていたため、犯人にはたどり着かなかった。誰ひとり傷つけずに警察を煙に巻いたその知能犯罪は、“国民総探偵”といわれるほど人々を謎解きに熱中させ、また学生運動家からは、“反体制のヒーロー”の扱いを受けるほどだった。盗まれた現金の一部は番号が控えられていた。警察はそのナンバーの紙幣を元に犯人をたどろうとしていたが、結局それらのナンバーの紙幣は流通しないまま、1975年、時効成立。三億円の紙幣は、未だ1枚も使われていない。』GyaOより抜粋
 である。
 みなさん知ってるだろうけど。
 あのモンタージュも全然違う事件の犯人にヘルメット被らせただけっつうのも有名な話で、警察の面目丸潰れ事件なわけである。
 ちょうどこの映画の公開情報が流れ出した頃、すごく三億円事件を調べたりしてたので、なんつうかタイミングがいいというか、悪いというか。
 ともかく「やられたー」つうことです。
 


 三億円事件の真相、というにはそこまで奇をてらってるってわけじゃないけど、実行犯となる宮崎あおい=みすずがとても良い。ね。だって犯人女子高生だもん。冒頭にあるシーン。警察官の後ろ姿。それがヘルメットを脱ぐとファサーっと長い黒髪が広がって、それがみすずだってのがあって、そのシーンがすごくインパクトあって、映画の全部を語ってるみたいで印象的。で、そんな犯人みすずは初めて恋をしているのである。
 シェチュネェ。
 宮崎あおいの存在感みたいなのがとても良くて、「NANA」観ないでおいて良かったと思う。なんかNANAの人だーみたいになるとちょっと寒い。その印象で「大人になんかなりたくない」なんてセリフ聞いたら、ちょっと台無し感がある。いや、観てないからそんなに「NANA」毛嫌いしてもアレですが。
 あと小出恵介くんはすごく昭和だ。昭和で良い。パッチギの子がいつの間にか立派に東大入ったらこうなるんかーって感じ。


 で、ラストに流れる元ちとせの歌がすごく良くて、泣けてくる。
 これがモト冬樹だったら泣けない。


 たぶん、言いたかっただけです、これは。



 この映画が真相だったらなんか嬉しい。
 そんなことを思ったりしました。


 
【監督】塙幸成
【原作】中原みすず(「初恋」リトルモア刊)
【出演】宮粼あおい/小出恵介/宮粼将/小嶺麗奈/柄本佑/青木崇高/松浦裕也/藤村俊二