新聞紙の向こう側に
稽古でした。
毎回いろんな場所で稽古をするんですが、今日は世田谷区の某施設。近所だったのでラッキーと稽古場に着くと隣の部屋は写真のようになっていた。
ドアにはガラス窓がついているんだが新聞紙に覆われている。
怪しい。
隠してる=見られたらマズいことをしている。他人に見られたら大変な行為が新聞紙の
向こうで繰り広げられている。 僕は思った。
エロいことしてるんちゃうんけ?
僕くらいの年代になると理解不能な事態の大概はエロいことと認識するもんである。道に濡れた雑誌が落ちていればエロ本だと思い、布きれが落ちていれば下着かと思い、光ってる物は小銭だと認識する。家に持ち帰ってから「違うんかい!」と地団太踏むのが関の山だが仕方ない。
そんな数々の失敗を踏まえた上でも僕の妄想は膨らむばかりでスクラムトライ。
きっとあの新聞紙の向こうでは一糸纏わぬ女子がくねくね踊ってるのだろうか。はたまたくんずほぐれずで組体操なのか。いや、これはもうAVか。あえて地味な施設で、僕らがアーエーイーウー言うてる隣りで、アァーン、エェーン、イィーン、ウ、ウゥー!なのか。
えーい、ままよ。
こうなったら部屋間違えたふりして開けてしまおうか。おう、それがいい。相談しないでそうしよう。
ドアノブに手を掛けようとしたその時、別の考えが脳裏によぎる。
もしや、
この中では鶴がはたを織っているんじゃなかろうか。
そうか。
この地区会館の前で罠にかかった鶴。それを助けたここのオヤジ。そのオヤジに恩をはたで返そうとせっそこはた織ってるのか。
そうだったのか。
そう思ったら涙が止まらなくなってくる。
僕はそのまま稽古に戻り芝居をしてみると、演出の壱岱氏に「なんか切ない」と言われたとか言われなかったとか。