那須ガス爆発2005④〜ヤア、ヤア、ヤア!聞いてないですよ俺〜
戦争の博物館やら巨大な黄金像やら怪しげなスポットから逃げるように車を走らせた。
そして偶然通りかかった牧場にいたのは、写真で分かる通りのダチョウである。
ダチョウ!?
こんなところでダチョウの群れに遭遇するとは。
この辺の方はダチョウにまたがり「ハイヨー」と馬の群れを追い立てるのだろうか。
そして夜は豆のスープで暖を取るのだろうか。
違った。
日本にインディアンはいなかった。
むしろ、インディアンはダチョウにはまたがらなかった。
ヤー!だちょうレストラン発見!
え!?
食うの?
ダチョウ食うの?
「聞いてないよー」と店内へ。このタイミングなくしていつ言うのだ。
焼肉、ハンバーグ、ヒレステーキ、砂肝、メンチカツ、タタキ、刺身、ユッケ、さらには「だちょう丼」なるものまである。
名物珍料理かと思いきや、思いっきりダチョウオンリーで商売してる。すごすぎる。しかも安い。
ウィキペディア(Wikipedia)によると
『ダチョウの肉は赤みが強く、脂が殆ど無いことから健康食品として注目されており、日本国内でも食用として観光農場などでの飼育羽数が増加している。見た目や味も近いものがあることからステーキ・焼肉・ハンバーグなど、牛肉と同じ調理方法で食べることが多い。ただし加熱しすぎると硬くなり、健康食品とは裏腹に脂が殆ど無いことからジューシーさに欠けるという意見もあり、好みが分かれるらしい。聖書で食べてはならない食品の一つに入っているため、ユダヤ教徒は食べない。』
僕はユダヤ教徒じゃないからOK。
で、「だちょう丼」ってのもなんだから、より本来のダチョウの味を愉しむために焼肉にしてみる。
生でダチョウを食すってのも粋だってなもんでユッケもオーダー。
そういえばタマゴはメニューになかった。
かのダチョウ倶楽部は珍品を食した際に「甘からず、辛からず、かと言って、美味からず」という名言を残したが、ダチョウは普通に美味い。ちょっと臭みがあるけど、確かに全然牛肉である。
店内にいた男2女2のグループはキャアキャア言いながらだちょう丼やらハンバーグやら食っていた。
「誰から食べるぅ?」
「オレがやるよ!」
「それだったらオレがやるよ!」
「じゃあオレがやるよ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
なんとも和気藹々であった。
しかし、まさか那須に来てダチョウを食べることになろうとは予想だにしなかっただに。
でもさすがに
「これってそこの牧場にいたダチョウですか?」
とは聞けなかった。
世の中には聞いちゃいけないことがあるのだ。
会計を済まして外に出ると、左手に小さな部屋があって看板が掲げてあった。
『ダチョウに捨てるところ無し』とはよく言ったものだ。
帰り際に車から降りてダチョウを見てみると、
なんかものすごく怒ってる。
も、もしや、お前の兄さんを…。
などと思ったりもするがそれが弱肉強食ってやつである。
許せ、ダチョウ。
僕はお詫びの気持ちも込めて、
飛べない鳥の前で、飛んでみたYO!