『TAKESHIS'』

jogantoru2005-11-25



【監督・脚本・編集】北野武
【出演】ビートたけし/京野ことみ/岸本加世子/大杉漣/寺島進/石橋保/美輪明宏/早乙女太一/津田寛治/森下能幸/松村邦洋/内山信二/小森未来/ゾマホン/THE STRiPES


 さて。昼から『乱歩地獄』を観てポカーンとした僕でしたが、2時間のインターバルをおいて『TAKESHIS'』を観ることになる。
 非常に難解という噂を聞いていたので「今日は連続ポカーンかな」と思いつつもそれほどでもなかった。ま、ポカンくらい。伸ばさない。昼に乱歩な地獄を見せられていただけに多少のことには動じなくなったんじゃなかろうか。
 一番引っ掛かったのは「何故に京野ことみ?」という点と「京野ことみ、無駄脱ぎじゃねえ?」という点だったんけど、ラスト近くに京野ことみ演じる女が新体操をするシーンがあり「なるほど。新体操が出来る女優探してたのか」と納得しかけたが、新体操のシーンで踊ってたのは吹き替えの小森未来だ。この人、新体操ヌードとかやってたしね。でも小森未来は吹替えやらされたりDJに乳首スクラッチされてたり大変だよ。


 ストーリーは『スターである《ビートたけし》が売れない役者《北野》と出会うことにより、《北野》の目線から世界を体感する夢を見る』みたいな感じだ。ものすごく簡略してるけど、まあ、そんなもんだ。たけし監督は最初に1本きちんと編集して、それをぶっ壊して並べ替えたという。だから唐突に断片的なシーンが入ったり、同じシーンが何度も繰り返されたりして、現実と虚構をごっちゃになっている。さらにほとんどの役者が一人何役もやってたりする。どこまでが夢で、どこまでが現実なのか。つーか、どっちでもいいのか。夢の中ではいきなり場面が切り替わったり、友達が怪物になってたりメジャーリーグ代理人になってたりするものだ。
 その中で《北野》が体験するさまざまな、まさに《夢のような》出来事はどれも実際のビートたけし自身のこれまでの人生を抽象化してパロディ化したものをなぞっているようで、たけしが初めて買った中古のポルシェが出て来たり、「岸本加世子=奥さん」で「大杉漣森昌行」を現してるだとか、過去の北野作品で見たような光景が展開したりする。



 これはたけしがこれまでの集大成として作り、今後新しい展開をしていくという決意表明なのだ。
 というのをどこかのHPで読んだ。


 なるほど。
 みんな結構深いとこまで読んでるんですね。



 僕にはあんまり難しいことは分かんないんだけど、あとからいろいろ考えることが多くて、すごく残る作品ではあるなと思う。いい意味でも、悪い意味でも。
 でも内山くんと松村の二人組(コント300kgってコンビ名は笑った)が一番面白かった。何で今さらゾマホン?とか思ったけど、これがボビーだったらもっとさぶいんだろうし、ボビーはボビーでもバレンタイン監督だったら、それはそれでよし。
 週刊文春の映画評でおすぎが『ノーコメント!』(おすぎ風に読んでください)って書いてあったけど、そんなにひどくない。そんなこと言うおすぎは踏んづけてやろうかと思う。映画評で「ノーコメント」はないっての。それが仕事じゃん。


 後からじわじわと良くなってくる作品です。



 あと、
 一つだけ言いたいのは。


 タップはもう要らなくねえ?


 って、ことくらいでしょうか。
 いや、ほんとに。


 もう一度観たい映画だけど、次はDVDでいいや。
 で、申し訳ないけどタップシーンは早送りで。


【公式HP】http://www.office-kitano.co.jp/takeshis/