『乱歩地獄』

jogantoru2005-11-24



 一年ほど前の映画化決定の時から待ちに待ってた江戸川乱歩作品4本のオムニバス。オムニバスだが全編に浅野忠信が出演してる。「世にも奇妙な物語」のタモリ的な役柄ではなく、明智小五郎だったり、犯人だったり、全裸だったりする。売店には浅野忠信カネコアツシのデザインしたTシャツ、CA4LAとのコラボキャップなど売っていてオシャレ映画っぽい。
 しかし、なんというか逢えない時間が愛を育てるっつうか期待が膨らみに膨らんで僕の期待値思春期Fカップ強だったわけで、ものすごく期待し過ぎるってのは相手にも、自分自身にも良くないと痛感。
 

『火星の運河』

 地球なのかどこなのかわからない、誰もいない荒野に全裸で立つ男。その圧倒的なビジュアルで始まる!
 【監督】竹内スグル
 【出演】浅野忠信/森山開次/shan
 

 全裸の浅野忠信掟ポルシェに見えて仕方なかった。以上。



『鏡地獄』

 鏡の魔性に魅入られた美青年の愛と狂気を、乱反射する魔術的映像美で描く!
 【監督】実相寺昭雄
 【出演】成宮寛貴/浅野忠信/小川はるみ/大家由祐子/寺田農/市川実日子


 どのシーンにもあらゆる方向に無数の鏡があって、どうやって撮影してたんだろうと感心。成宮くんはもうひと狂い欲しかったけどいい顔してます。パンフレットに「男が男を好いても構わないような怪しさがある」と監督がコメントしてて意味深。
 話としては一番まとまってたけど、原作にあった球面のガラスの内部に篭り発狂死する様が見たかった。そこをどう映像化するのかが楽しみだっただけに残念。
 球体の鏡の内部にはどのような映像が映るのか。
 これは誰もが興味あるらしく下記のようなサイトを発見。計算式ではこのようになるらしいけど、そりゃ実際入ってみないと分からんですね。
 「鏡地獄:球面鏡の内部のレイトレース」→http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~nagatani/SphereInside/ 
 「鏡地獄」→http://members.at.infoseek.co.jp/uteba/p_kagami.html



『芋虫』

 視覚以外の五感と手足を失った夫と彼を介護する妻。その歪んだディープな愛のかたちを天井裏から覗く男を通して見つめる!
 【監督】佐藤寿保
 【出演】松田龍平/岡元夕紀子/大森南朋/浅野忠信/韓英恵
 原作がすごく好きなんだけど大森南朋扮する「芋虫」のグロテスクさが足りない。イメージではもっと原型が分からないまさしく「芋虫」みたいなイメージだったから残念。背中とかすげーきれいだったし。もっともっと原作に近い異常な世界にしてくれないと単なる耽美な実験映画になってしまう。でも4本中一番雰囲気は乱歩っぽい感じがした。
 松田龍平平井太郎=怪人20面相として出ているが、龍平くんは撮影前日に食べ放題に行ってさらにビールがぶ飲みしちゃったのか顔がものすごくぷっくりしてた。でもあの怪しさはなかなか他の人では出せないのかな。でも、ぷっくりしてたなあ。



『蟲』

 憧れの女優を手に入れようとする男の一方通行の恋をポップに描き出す!
 【監督】カネコアツシ
 【出演】浅野忠信/緒川たまき/田口浩正
 作品としては一番好き。もう乱歩の世界を自分のモノにしちゃってる感じ。それがアリかナシかは分かんないけど、極彩色豊かな映像にシュールな世界が展開してる。前3本が陰鬱な感じだから最後くらい派手でグロさとかなくてもいいんじゃないかと。
 浅野忠信は今作が一番ハジけてて、「すいませんでしたー、すいませんでしたー」のとこなんて訳分からんけど面白い。それで緒川たまき綺麗。いま幾つなんだろ?すごく高級で上品で妖しくていい感じです。



 ただものすごく期待しちゃってただけになんとも中途半端な気分になっちゃいました。すいません。みんな頑張って作ったろうに。浅野さんアイスランドまで行って全裸になったのに。
 エンドロールが終わって明るくなった時、劇場内が巨大な「ポカ〜ン」に包まれていた。
 そんな気がした。
 そしてこの後僕は映画のハシゴで「TAKESHIS'」を観に行き、ますますポカ〜ンとしちゃったぞ、ダンカンコノヤロウ。


 【公式HP】http://www.rampojigoku.com/index2.html