ノスタルジック'05盆


 前にも書いたが今水戸では原作・恩田陸、監督・長澤雅彦の映画『夜のピクニック』の撮影が行われている。(参照→http://d.hatena.ne.jp/jogantoru/20050719
 数少ない高校時代の友人がそのスタッフをやっているということでエキストラで参加してみようと現場に向かったら天候が悪くてその日の撮影が中止になった。僕はその日しか参加出来なかったのだが、それを悪いと思ったのか友人は「スタッフルームに連れて行ってやるよ」と僕を連れ、旧県庁内にあるスタッフルームにおじゃました。
 しかし、一つ大事なことを忘れていた。
 僕は根っからの人見知りである。しかも当日いきなりの撮影中止のため、入った瞬間から何だか重い空気が漂い、そこにいきなり現れた僕は始めこそ「おつかれさまです」なんて声を掛けてもらったけど、次第に単なる異物となり「で、あいつ誰?」みたいな視線、いや正確には「んで、あいつ誰だっぺね」的な扱いとなり、女性スタッフの方が麦茶を出してくださったが、僕はその数倍も厭な汗や汁を出していた。
 しかしながら撮影も佳境に入っているということで、頑張ってほしいものです。温水さんや加藤ローサ嶋田久作さんも出演するらしいです。


 で、急に暇になった僕らは水戸の街を友人の車で走っていると、いつのまにかすごく近代化しちゃってて駅南とかメトロポリスだ。思い出の場所は時の経つのと同じくしてガンガン変化しててどこの町だかわかんなくなってて「わー」とか「うーうー」とか「大都会が変な飲み屋になってるー」とか言ってると友人が『緑高行ってみる?』と言い「いやー、それはノスタルジックじゃねえのけぇ?」と日本史の打越先生の物真似なんかしてると我が母校に到着した。


 
 「全然変わっちってっぺよー」
 ただ呆然と見上げるばかり。なんか屋根んとこなんて丸くなっちゃってて、ガラス貼りの校舎があったり、駐輪場すらきれいになってて違う学校みたい。「昔はこんなじゃなかったー」とかやってると、もし自分が売れっ子スターだったらちょっとした思い出探訪番組みたいだなとか思いつつ、そうでないただの暇人な自分を冷笑し、中に入ってみようと提唱して入ってみると、校門から出て来る在校生に見つかり「卒業生です」などと爽やかに微笑みかけるも、怪訝な顔をされる。そりゃそうだ。しかし何だかやっぱりノスタルジックで「そりゃあ歳取るわけだ」と歳取ってる人間らしい感想を述べ、地元の勝田駅の前に出来たちょっとオシャレな立ち飲み屋で酒を飲んだ。開店1ヶ月というその店にはすでに地元民たちのコミュニティが出来上がっていて寂しかったりしたけど、友人の「俺、これで運転して帰って捕まったら懲戒免職だよ」の言葉に大人だわーと感心する。彼は中学教師なのである。僕は大学3年の時に教師になりたいと思ったけど、教師になるには教職課程というのを履修しなくてはならないことをその時知り、断念した経緯があるので、教師になってる時点で彼は立派な人なのです。
 まあ、普通に運転して帰りましたが。


 でもたまにはノスタルジックな気分に浸るのも悪くないなと、翌日別の友人と昼間から港の寿司屋で飲みながら思いました。家族連れとかが寿司食ってる隣りでぐでんぐでんになりながら。
 結局飲んでばっかりです。
 そういう大人になりましたよ。