身も心も

jogantoru2005-08-02



 駅などで「最近の高校生は老けてんなあ」とよく見ると大抵は疲れたサラリーマンだったりする。
 それは僕の目が節穴だというわけではなく、もちろん世のおじさん方が若々しいわけでもなく、無意識に見るとその外見がかなり似ているのが分かる。上着を着ずネクタイをせずに白の半袖シャツのサラリーマンの後ろ姿は高校生のそれと酷似している。


 それは『COOL BIZクールビズ)』のせいである。


 温室効果ガス削減のため夏のエアコンの温度設定を28℃にしましょうよ。そんなオフィスで快適に過ごすためにネクタイも上着もやめましょうよ。と、環境省が提唱したのが『COOL BIZクールビズ)』だ。
 すっかり浸透した感のある『COOL BIZ』ではあるが、もしこれが『COOL B'z』だったら愛のままにわがままに君だけを傷つけないんだろうけどみんな小学生の半ズボンみたいなジーンズを履くだろうから涼しげだから本家『COOL BIZ』と大差ない。ただし間違えてギターの方の『COOL B'z』になってしまうと髪も眉毛もクールじゃない。気をつけよう。


 そもそも『COOL BIZ』の『BIZ』って何なのさと調べてみると『BIZ』はビジネスの『ビズ』だった。『夏を涼しく過ごすための、新しいビジネススタイル』という意味らしいが『COOL BIZ』は直訳すると『冷酷な仕事』である。
 冷酷な仕事とは冷たく酷い仕事、もしくは冷たく酷くされる仕事である。
 窓際の席に追いやられ女子社員には冷遇され、いつ解雇されてもおかしくない社内での立場に怯え、家に帰っても家族から疎んじられている。心の拠り所を失った写真のおじさんは夜の駅で途方に暮れて身も心も『COOL BIZ』になってしまうのである。
 つまりこの『COOL BIZ』がこれだけの短期間で一気に浸透したのは日本のお父さんを真実を如実に表しているからなのである。でもなんだかんだ言ったって冷房28℃はやっぱり暑いと思う。