アーアー夏休み

jogantoru2005-07-21


 朝、家を出るのが異様に早い僕が駅までてくてく歩いていると、向こうから子供たちがわらわらと集まってくる。
 ぎゃあああ!何これ?『光る眼』の子供たち!?
 とか思ったけど、それは朝のラジオ体操に集う子供たちだ。子供たちはスタンプ押してもらうカードを首から下げて朝7時前だってのにハイテンションで駆けずり回ってる。これが冬だったら犬クラスのテンションの高さである。逆にこの時期コタツで丸くなってる子供とかいたら俄然心配だが。
 なんで子供らがテンション高いのかというと今日から夏休みだからである。


 この時期になると僕も「あー小学生に戻りたい」とピーターパン症候群ならぬ、ただのだらしなさ全開な幼児還りに心奪われたりしますが、大人になると夏休みが全然ないから本当むかつく。しかも夏よ冬はまだいいけど、春休みがなくなってたりする。これには社会人になった時焦った。この失われた春休みへの想いをどこにぶつけていいか分からなくてただ泣いてばかりの日々であった。大人になると何かと不都合が多い。赤ちゃんなんて立っただけで褒められるし「あー」とか言って笑えば「かわいー」とか言われる。すごく羨ましい。僕にはそんな褒められたりした記憶がない。覚えてない。何で人間として一番チヤホヤされている時期の記憶がなくなってしまうんだろう。神様が人が慢心しないようにその時期に記憶を消し去ってしまうんだろうか。でも大人になってから赤ちゃんの格好したりすると単純にキモいとかしか言われないんだから不思議である。たった30年くらいしか経ってないのに。


 でもラジオ体操は僕の人生なんかより全然歴史があって、日本ではじめてラジオ体操が紹介されたのは大正14年(1925年)で今から80年も前になる。ちなみに現在のラジオ体操第一が出来たのは昭和26年(1951年)で、「ラジオ体操の歌」が出来たのが昭和31年(1956年)である。そう思うと50年もの間「あーたらしー朝がきた、希望のあーさーがー」って子供たちが歌ってるわけだからすごい。今の60歳くらいの人と小学生が同じ歌で同じ体操をしていたのである。僕らの夏はいつもラジオから流れる(つーかテープだったが)あの歌で始まっていたのだ。


 そんな感慨に耽りながらもそんなテンションの高い子供らに大声で「おはようございます!」とか言われちゃっても僕はシャイなので「すわ、親父狩りか!」と萎縮してしまい微妙な笑顔を浮かべるばかりだけど、なんというか元気があってよろしい。