姑穫鳥の夏、日本の夏

jogantoru2005-07-20



 というわけで観てきました『姑穫鳥の夏』。
 やはり原作モノってのは難しいもんで原作の読者一人一人の頭の中ではすでに脳内キャストが完成されてて、それが人気シリーズだったりすると尚更である。ま、小説は小説、映画は映画でお楽しみくださいとは云うけれど、それでも何かしら引っ掛かってしまうのが人情ってもんである。キャスティングする側だって原作が好きで作ったりするんだったら大変だろうと思う。
 映画版『姑穫鳥の夏』のキャストは概ね正解だったように思える。
 永瀬さんの関口は良かった。地味な狂言回しだけど、関口の内面にある狂気のようなものが見え隠れして、贔屓目でなく良かったんじゃないかと。松尾スズキの内藤(出番が少なく消化不良だったけど)と同じくらいにハマったと思う。阿部寛は原作よりキャラが普通っぽかったし、ちょっとトリック入ってたけど合格。宮迫博之はアリだった。うん、この人はギャグとか言ったり「俺面白いやろー」みたいな顔しないで演技してればいいと思う。あと代官山で子供と戯れる姿を見て高感度上がったってのもある。
 で、やはり気になるのは京極堂堤真一。僕としては堤京極堂を受け入れて観ていたけど、終わってから連れと考えてみた。
 「誰が京極堂だったら一番ハマったか」
 数時間の議論の末、結論として5人の名前が残った。最終的に5人って時点で結論は出てないっぽいが、結論としては映画で堤真一京極堂だったんだから京極堂堤真一でいいのだ。こっちはあくまでお遊びである。
 僕らの中で残った5人は以下のようになった。
 -三上博史
 -本木雅弘
 -小林賢太郎
 -板尾創路
 -ハローケイスケ
 だからこの5人で「京極堂ズ」みたいなのを作って推理したり憑き物落としたり頭パッカーンしたりするといいと思う。どうしてもハローケイスケが最後まで外せなかったってのは一番観たいのはハロー京極堂なのかもしれない。なんだ「ハロー京極道」って。バカにしてるみたいだ。でも小林賢太郎京極堂って意外といいような気するが如何なものか。
 

 原作を読んでいるといろいろ想像しちゃってるから不満も残ったりはする。
 以下、ネタばれあります。


 ちょっと待て。
 これ「以下ネタばれあり」って言われてそこで読むのやめる奴っていないと思うんだけど。これって「ネタばれあり」って言っちゃうことによって関心を集めようとしてないか。ちょっと陰のある男を演じてないか。いつもバカなこと言ってんのに時に夢語ったりしてないか。
 わかりました。
 で、やはり僕としては20ヶ月妊娠していた原田知世=梗子の出産シーン(やっぱネタばれはしないよ)が一番楽しみで、あのザッパーン!みたいなシーンをどうやって、しかも清純派、むしろパリジェンヌみたいなムードの原田知世がやるってのにすごく興味があったんだけど、まあ、無理でしたか。仕方ないよ。


 全体的には小説の世界観が随所に見られてて面白かったです。
 どこか小説のダイジェスト版みたいな感じもしたけど、よくまとめたんじゃないかなと。最後のアレはいらなかったなと思うし、エンドロール前の台詞は関口に言ってほしかったとも思いますが。


 「姑穫鳥の、夏だ」


 あ、いしだあゆみはあの叫びにすべてを賭けてたんじゃないかってくらい凄かった。
  

『姑穫鳥の夏』
【監督】実相寺昭雄 【原作】京極夏彦
【出演】堤真一/永瀬正敏/原田知世/阿部寛/宮迫博之/田中麗奈/いしだあゆみ/松尾スズキ/寺島進/恵俊彰/篠原涼子/荒川良々/清水美砂/三輪ひとみ 他
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