夜のピクニック

jogantoru2005-07-19


 夜のピクニックである。
 夜の歓楽街を千鳥足で彷徨う中年男の物語。ボッタクリバーで金を取られ、若者に狩られ、挙句の果てには自分の嘔吐物を喉に詰まらせてこの世を去るという一夜の哀しい物語。
 ではなくて、
 「みんなで夜歩く。ただそれだけのことが、どうしてこんなに特別なんだろう」
 なんて素敵っぽいフレーズの踊る恩田陸の青春小説である。ある高校のイベント、朝の8時から翌朝の8時まで歩く「歩行祭」を舞台にした物語だ。とは言え未読ですが話題にはなってるし、本屋大賞吉川英治文学新人賞も受賞しているのである。
 その『夜のピクニック』が映画化されるらしい。というか、すでにクランクインしているらしい。監督は「ココニイルコト」の長澤雅彦
 ふふーんとか思ってちょっと調べてみたらこの恩田陸さんは茨城県水戸一高の出身で、この「歩行祭」ってのは水戸一高恒例の「歩く会」のことだという。
 水戸一高といえば僕が中学3年の時に学力不足で受験することの許されなかった高校であり、県下でも有数の名門校である。かのカールスモーキー石井氏も卒業生である。僕が高校生の頃、水戸一高ってのは私服通学で「頭がいいから私服を許されている選ばれた人々」みたいなイメージで、なんつうか「住む世界が違う方々」と思ってた。考えてみれば大したことはないんだが、当時の僕にはそこは狭い世界であってもそれがすべてだったんだから仕方ない。イメージとしては「みんな東大に行くんだろう」とか思ってた。大学受験ギリギリまで東大と六大学と茨城大学くらいしか知らなかった僕だから仕方がない。いまだに興味のないことに関する知識がまったくないのが当時と変わってない。
 それにしても僕も頑張って勉強して水戸一高に入っていれば今頃は「我が高の伝統行事が映画になるのだよ。久しぶりで映画にでも行こうか」とワインを嗜みながらワイフに話していたのだろう。僕の中のエリートはワインを嗜むし、ガウンを着るのだ。


 ピクニックといえばCHARA浅野忠信の共演した岩井俊二の「picnic」を思い出すけど、夜中に塀の上を歩いてたら危ない。
 でも、僕の大学の時の先輩は僕んちで一緒に飲んでいたらいきなり
 「やばい!あいつらが来る!」
 と、壁を正拳突きすると、全裸でうちの窓から飛び出し屋根伝いに駆けて行きました。もちろんやばいのはあんたである。
 元気かなあ、朝倉先輩。
 成願は元気にしてます。