-9℃の世界で

jogantoru2005-06-29


 昨日は東京の大手町で6月の最高気温としては42年ぶりに記録更新となる36.2℃を記録した。42年前と言えば1963年。だいぶ昔だ。おそらくその頃生まれた人は42才に違いない。
 しかしながら42年前の35.7℃と今の36.2℃では、クーラーがない分42年前の方が暑い。でも42年前のことは知らないし、昨日はぐてるような暑さだった。
 真夏日どころの騒ぎではない。灼熱日だ。
 そんな灼熱の太陽にやられたら山梨の中学生だって同級生の頭にナイフ投げて刺さっちゃったなんて事件を起こしてしまうのだ。すべて太陽のせいである。この事件で一番びっくりしたのはナイフを投げた当の本人だろう。まさか当たるなんて思ってないのだ。彼曰く「大変申し訳ないことをした」とのことだが、大変申し訳ないことこの上ない。そんなことされたら泣くよ俺。


 今日6月29日の予想最高気温は27℃。実際は何℃だったのかは知らないけど、朝の天気予報で「昨日より9度低いので」などと言われるとものすごく涼しい気がする。
 でも実際27℃ってのは暑い部類に入るのでなんか騙された気分である。こんなのは「さあウ○コを食べなさい」と言われても食べられないが、その直後に「じゃあこっちの小さくて少し甘いウ○コは食べれるかな?」って優しく言われたらつい食べちゃったみたいな話である。別に甘納豆批判をしているわけではないので甘納豆業界の方は勘違いしないで欲しい。


 つーか下品だ。下品なことでしか例え話が出来ないってのも問題だ。また怒られる。
 怒られた僕は「ひえー、どひー、どしー!」となる。
 やーめーてー、どしー!
 どしー!
 ℃!


 ℃は温度の表示単位であり、またの名を「摂氏」という。
 摂氏とは明治16年に当時、自然科学の研究の第一人者であった摂忠彦博士によって「セルシウス温度」に相当する日本名を名付ける際に、彼のでしゃばりから「摂氏」と名付けられた。


 嘘だ。


 摂氏とは「摂家」を意味し、摂家」とは摂政・関白に任ぜられる家のことを指す。鎌倉時代以来、近衛、九条、二条、一条、鷹司の五家が並び立ち、それを「五摂家」と称したのだ。ちなみに九条家九条頼経は鎌倉三代将軍源実朝公暁に暗殺された後、鎌倉に下り征夷大将軍となっている。世に言う摂家将軍である。しかしながら政治の実権を握っていたのは執権の北条氏であった。それを知った九条頼経は悔しがり夜な夜な「くじょー、北条め!」とかは言わない。公家はダジャレとか言わないのである。
 そんな五摂家は互いに牽制し合い政治に対しても微妙な温度差があり、またひとたび争いが起こると水も沸騰するほどだったという。そんな数々の逸話からこれを「摂氏」の由来としている説もある。


 そんな説はない。
 嘘だ。



 なんで嘘を吐くのかというと別に構って欲しいとかじゃない。人生なんて騙し合いなのであり、そんな人生は虚しいのだが、また虚の中にこそ実があり、口から吐き出された虚が「嘘」になるのである。だから人間は嘘を吐き、その嘘の中にこそ人間の本当の姿があるのではないか。騙されることも時には必要なのではないだろうか。
 だから昨日よりも-9℃の世界に居る僕はそんな「昨日より9℃も寒い」という言葉に騙され、鵜呑みにし、むしろ盲信し、いつになく快適に過ごしたのだ。
 いや、普通に快適だったのだ今日は。