『お父さんのバックドロップ』
【監督】李闘士男
【脚本】鄭義信
【原作】中島らも
【出演】宇梶剛士/神木隆之介/南果歩/生瀬勝久/南方英二/田中優貴/奥貫薫/笑福亭鶴瓶/中島らも
母を亡くしている小学生の下田一雄(神木)はプロレスが大嫌いだった。"新世界プロレス"のプロレスラー下田牛之助(宇梶)を父親に持つものの一雄は悪役に転じた父親を恥じていたのだった。クラスメイトにも父親のことを秘密にしていた一雄は、次第に父親と距離を置くようになる。そんな息子の信頼を取り戻すために、牛之助は無謀とも言える戦いに挑んでいく。
ってのがストーリー。
ベタ。すごくベタな感動ストーリー。セイン・カミュに「プリーズテルミー、ユア感動ストーリー」って言われたらこの話すればいい。もうオチとかすぐわかっちゃうし期待通りだし、とにかくベ。でもたまにはこういうのもいいじゃないかと思う。斜に構えずに素直に感動しないと損するよっつう作品。
それにしても神木隆之介くんはすごい。上手い。アンニュイ。切ない。かわいい。なんつーんでしょ、何やらせても完璧ね。でもこの映画は宇梶剛士が主役だけど、そりゃすごくいいけど、やっぱ神木くん演じるカズオが主人公の映画で、プロレスラーとか大阪人とかいう豪気な人々の中で彼の繊細な感じがすごくいい。
たぶん、この子は天才子役だね。おそらくひっぱりだこになるよ。
ってすでに天才子役だしひっぱりだこだっつの。
あと生瀬。この生瀬すごくいい。かっこいい。あと奥貫薫ね。死んだお母さんの役でビデオの映像の中にしか出てこないけど、この人のこういう控え目な感じは素敵だ。全然台詞とかないし、ちょっと笑ってるだけとかだけどすごく優しいお母さんだったんだろうなーとか思える。
あと原作の中島らも本人がイルカの『なごり雪』を呟きながら髪を切る床屋を演じていて、なんとも切ない感じになった。何で死んじゃったんだろ。とか今さらになっても思います。
来月の7月26日はらもさんの命日。それまでに遺作『ロカ』『酒気帯び車椅子』を読んでおきたい。