雨降ってメランコリー

 今月に入り8月公演の稽古も始まり、これからまた「曜日」という概念が月火水木金土日ではなく稽古曜日と稽古じゃない曜日という二つに絞られていくわけですが考えたら2ヶ月後には小屋入りしてるわけだから時の経つのは早いもんです。
 今日は稽古前に都内某所に来年の本公演の劇場の契約に行ってきた。


 来年のことを言うと鬼が笑うと云いますが、駅前で団長のまつだ壱岱氏(氏とかつけると仲悪い兄弟みたいですが仲悪いわけではないし、むしろ兄弟じゃないです)を待っていると、鬼がゲラゲラ笑い出したと思ったら豪雨。ゲラゲラゲラゲラ、ひゃー。豪雨。俺がカメハメハ大王であれば即座に帰るのですが、俺は一介の小市民でありますから雨ん中ザブザブ靴ん中ヌチャヌチャいわせて劇場に行き、また靴ん中ヌチャヌチャいわせて池ノ上の稽古に行った次第で。
 でも池ノ上に着いたら雨も少し弱まり『そぼ降る』くらいの感じ。
 しかしながら思う。この『そぼ降る』ってのはどんな感じなのか。


 そぼ降る?
 そぼ?
 祖母?
 祖母降る!


 曇天の空から降ってくる祖母。
 大量の祖母。


 濡れないから有り難いけど笑えない。『晴れときどき豚』なら笑えても『晴れときどき祖母』は笑えないのだ。『ところにより祖母となることもありますので折り畳み傘を持って行った方が…』とか訳が分からないし、『現在の新宿駅前の祖母降りの様子です』なんて中継で大量の祖母が降ってくる映像見せられても対処に困る。きっと傘のない人は祖母の中駆け出せないし、タクシーに乗り込んでもボンネットやらに祖母降り注ぐわけだから恐ろしい世界である。


 バッシャンバッシャンと降り注ぐ祖母。


 いや、


 バッチャンバッチャンと降り注ぐ祖母。


 別にこんなダジャレが言いたかったわけではなくそういう流れだったということは了承ください。
 でも俺は祖母が降ってきたら逃げ出すことなく受け止めてやりたい。ちょっと腰を落として衝撃を軽くして優しく受け止めてやりたい。
 それが俺の介護のカタチなのだ。