俺、個人機密にも肉薄。
小泉純一郎の黒い真実に驚愕しつつ俺は帰路に着いた。新宿駅で京王線に乗る。混雑しているも座席を確保し気持ちを落ち着ける。
電車が走り出し俺がうつらうつらし始めた頃、耳障りな音が聞こえてきた。
パシャリ、パシャリ。
…写真だ。撮られてる?俺撮られてる?すでに公安が俺をマークしているんだろうか。俺は辺りを伺った。
そして俺は隣りに座っていた角刈り白髪の頑固そうなオッサン(写真は別人によるイメージ映像です)の行動に目を疑った。
パシャリ。
オッサンの持つ携帯の液晶にはオッサン本人の顔が写っている。
そしてまたパシャリ。
…自分撮りしてる。
そんなはずはない相手はオッサンだ。これは何かの間違いだ。俺の願いを無視するかのように画面はスルスルっとズームされていく。
画面一杯にオッサンの瞳がアップになる。
パシャリ。
続けざまに口元がアップに。
パシャリ。
歯を見せてパシャリ。
ニッコリしてパシャリ。
オッサンはそこまで撮ると携帯を閉じた。
なんじゃそら!
俺は心の中で高らかにツッコんではみたけど届くわけもない。携帯を閉じたオッサンは眉間を寄せ厳しく頑固な顔つきに戻っている。でも俺は見たのだ。頑固親父の重要機密、むしろ家族には見せないお茶目な一面に肉薄したのだ。
するとオッサン、慌てた様でまた携帯を開くとカメラを起動させる。「どうした?」と訝る俺。慣れた手つきである部分がズームされていく。
鼻。
パシャリ。
そして電車は夜の闇をガタゴトン。