横浜日劇閉館遺憾

jogantoru2005-01-16

 横浜日劇が閉館になるとのこと。以下は毎日新聞(元記事http://www.mainichi-msn.co.jp/geinou/photojournal/news/20050116k0000m040110000c.html)の記事より抜粋。

 『私立探偵濱マイク』シリーズの舞台となった横浜市の名物映画館『横浜日劇』が2月18日を最後に半世紀近い歴史に幕を閉じる。運営する興行会社が廃止の方針を明らかにした。レトロな風情で脚光を浴びた映画館だが、シネマコンプレックス(複合型映画施設)に客を奪われ、興行会社は「業績不振のため閉鎖せざるを得ない」と話す。建物をどうするかはまだ決まっていないという。
 横浜日劇は57年、繁華街の伊勢佐木町地区に開業。大手が配給しない話題作や名作の2本立てを安価で上映し「庶民の映画館」として親しまれてきた。一方、93年に映画第1作が公開された永瀬正敏さん主演の『濱マイク』シリーズの撮影に使われた。02年には日本テレビ系列でテレビ版が放映され、訪れるファンも多かった。

 僕はなぜか濱マイクの一作目を横浜日劇で観ている。当時はまだ永瀬正敏ってかっこいいなーくらいにしか思ってなかったんだけど横浜日劇でマイクに出会い、映画を観ながら振り返るとそこにはスクリーンの中と変わらない濱マイクの探偵事務所がそこにあるのだ。あの空間であの映画を観る喜びはビデオでもDVDでも他の映画館でも成し得ない至福の時間だった。もうズキューンドキューンと胸撃たれ、初めて映画のキャラクターにどっぷり感情移入し、永瀬正敏という人がすごく大きな存在になり、それはひょっとすると僕の「役者をやりたい」という想いにも繋がっているのかもしれない。
 それからというもの、もちろん濱マイク3部作は全て日劇で観て、暇を見つけては横浜黄金町に足を運び、なぜか「少林サッカー」も日劇で鑑賞した。日劇周辺には濱マイクに出てくるさまざまな店、風景、空気がいつもあって、あの大岡川の桜の向こうに見える如何わしいちょいの間ですら映画から飛び出た1シーンみたいだった。コトブキ食堂でメシ食って表に出たら日劇からマイクが降りてきそうなそんな不思議な空間だった。
 確かにシネコンって便利だしやっぱ利用するけど、あの日劇の古臭いショーケースの中に入ってるお菓子やら煙草の煙のこもったロビーやらギシギシうるさい椅子やらもやっぱ素敵なのである。子供の頃、春休みになると母に連れられてドラえもんを観てた映画館にもちょっとそんな雰囲気があったなーなんてことも思い出す。
 だからそんな日劇がなくなるのは本当に悲しい。最後の雄姿を目に焼きつけに行かなくちゃならん、なんとしても。