クライマックス

別れの場面には音楽がよく似合うものだ。
例えばそれは、レイちゃんが引っ越しちゃう場面とか、シュウちゃんがビデオ出てたの発覚して別れる場面とか、蛍が五郎に鮭渡されて泣いてる場面とか、「不良だ」って言われた純が悔しくて電信柱殴ってる場面とか。
あ、全部『北の国から』になってる。しかも後半は別れの場面じゃなくて俺の泣ける場面特集になってる。
話を戻そう。
先日の話。
夜の上野駅のホーム。あるカップルが喧嘩をしていた。
「だからそうやって比べられんのが嫌なの」
「ちょっと待ってよ」
「やだ」
「待って」
そんなの。他人の目も気にせずに声はどんどん大きくなる。しまいには涙も流れる始末。どうやら眼鏡茶髪のぺ様似はどうしても別れたくないようだ。さめざめだ。
その時の俺の脳内音楽はスガシカオの『クライマックス』だった。

今僕はもしかすると
世間一般で言ういわゆる
「ふられてしまう」という
クライマックスに遭遇してる
ドラマの最終話で
主役じゃない方が
ふられるシーンみたいだ
（スガシカオ『クライマックス』）

もしくはオレンジレンジの『花』とか流れて二人を俯瞰から撮ってたらめちゃめちゃ感動するんじゃないか。
でも、
ちょっと違ってた。
二人とも


小太りだった。


さらに、
二人とも



女だった。

凹んだ。