恋のから回り
今日から夏休みである。
本来なら大塚愛ばりに「いぇい!」と飛び跳ねたいのだが、夏休みが短いので高島忠夫クラスだ。思えば小学生の頃は40日も夏休みがあったのだ。当時は当たり前のように夏休んでいたけど、もし今40日間も休みもらえたら和田アキ子ぐらいの勢いで「いぇい!いぇい!いぇい!」とはしゃぎまくるに違いない。
とは言え、夏休みは夏休みである。なんだか街を歩いても電車に乗っても京王ストアで値落ちした総菜選んでいてもみんな楽しげに見える。渋谷なんて若者溢れすぎだ。しかも室外に居すぎだ。暑いのに。暑いだに若者は夏に何してんだろう。
うーん、
汗だく?
正解。確かに汗だくではある。でも連中は汗だくになりながらニット帽被ったりもしている。麻痺してんのか夏に。ケアしてんのか頭皮。
だのに若者たちが元気一杯かっつうとラブを探しているのである。長い夏休みにはラブの一つもなければ面白くもなんともない。かつてスチャダラのANIが「夏!クラブ!ナンパ!思い出!」と謳っていたようにやはり夏にはラブが不可欠である。
僕が半蔵門線に乗っていると隣に若者カップルが座ってきた。男の子は、使い古された言い方だが、オレンジレンジみたいな感じで、女の子はまあ可愛らしい感じの子である。
隣に座るや男の方が「なんか距離あるよね〜、拳一つ分距離があるよね〜」と言い、なんとなくぎこちなさの漂う彼らはまだ深い交際に入ってない様子で、男の方は虎視眈々と夏の思い出作っていきたいっぽい。
彼の虎視眈々に興味津々な僕は二人の会話に耳を傾けてみた。こしたん(虎視眈々な彼はこの時“こしたん”と名付けられた)の会話テクニックから僕も若者文化に触れようというわけである。
得意気にこしたんは話し始めた。が、何故か食べ物の話ばかりである。
こしたん「俺ってさ、食べる時は食べるけど、食べない時は本当食べないよ」
…はい、僕もです。
こしたん「でもあれだよね、動くとお腹空くよね?」
はい、僕もです。
こしたん「あと俺、疲れるとすぐ寝るんだよね」
はい、僕もです。
奇遇だね、こしたん。僕と相性ばっちりだよ。
ヒートアップしてきたこしたんは一人軽快に話続ける。
こしたん「俺さあ、数の子のプチプチした感じが好きなんだよね」
女「あたしも」
こしたん「プチプチー、プチプチー」
女「…」
こしたん「あと炙り系?炙るっていいよね?炙って〜、炙って〜みたいな」
女「…」
こしたん「ガレッジセールのゴリって面白いよね」
女「うん、あたし好き」←やっと食いついた。
こしたん「(嬉々として両手を上下に振りながら)うーん、ゴリゴリ〜!ゴリゴリ〜!」
そういうのでいいの?
何?繰り返せばいいの?
次の芝居で使ってみるかな。
うーん、
ゴリゴリ〜!
ちょっと使いそうでは、ある。