ギャー製作所
ここは国内で五指に入るギャー製作所。日夜さまざまなギャーが作り出されている。そのため深夜の作業場から「ギャー!」「ギャー!」という声が止むことはない。需要に対する供給が間に合わないのだ。
頻発する少年犯罪や性犯罪、自然災害、テロ、戦争。
今やあらゆる地域で「ギャー!」が叫ばれているのだ。
そんな時代に匠の技が注目されないわけがない。
「森さんとこのギャーは素晴らしいね」
「そうね、甲高いね、悲壮感があるね」
『ニュースです。都内○○小学校にぐるぐる魔人が現れました。次々に児童を襲っています』
「ギャー!」
そんな感じであるから大繁盛しているんだが、いかんせんどのギャーも喜ばしくないギャーであるがためにそれを憂う人だっているのだ。それはいいギャー担当の田所さん(仮)だ。
田所さん(仮)は森ギャー製作所初期からの社員でありもう引退間近のベテランさんである。田所さん(仮)は些細だけど優しい、そんな素敵なギャーを一つ一つ手作業で作る。機械的流れ作業の中で次々に作り出される悪意のギャーに溢れた工
場の片隅で、ギャー言う人の顔を思い描きながら丁寧にギャーを仕上げていく。
話を聞いてみるとそんな田所さん(仮)もついに今月一杯で定年だという。そこで俺は田所さん(仮)に仕事を発注した。
「とびきりのギャーを麻布die pratzeまでお願いします」
さて本日、ASSH『トーキョーより行先不明の穴に落ちて』が初日を迎えます。どんなギャーが仕上がっているのでしょうか。
お楽しみに。