仁王立ちな尻

ほんと仁王立ちだったもん

稽古が終わって打ち合わせとかして車で三軒茶屋まで送ってもらいなんだかお腹が減ってたのでめし屋丼に入った。定食大好き。ってな訳でしょうが焼き定食を注文し、とりあえずトイレに立った。すっきりしてしょうが焼きにのぞみたいのだ。ふんふふん。
トイレに入りドアを開ける俺。
中には、
仁王立ちで尻丸出しのサラリーマン。
時間が止まる。
「あ、すいません」と俺。
「あ、あ、あ、鍵掛け忘れた!」とリーマン。
しかも俺動揺しちゃってなかなかドアが閉まらない。
目の前には尻。
初対面の男性の尻。
あー尻。
Yシャツから飛び出す尻。
おそらく彼は事をし終えて立ち上がりザバーと流してズボンを上げる直前だったのであろう。俺の目の前の尻はエクボをしたため震えていた。
彼が出て行くまで耐えに耐え、トイレの中で大爆笑。トイレを出ると彼は恋人であろう女性に何もなかったようにトークを浴びせている。
言ってねえんだろうなー。
しょうが焼きの味なんかするわけもなく、豚肉でなく笑いを噛み締め店を後にした。

思い出した。
俺の高校ん時。
俺は学校の近くのセブンイレブンにいて、そこは俺らあんまり授業出ないチームの溜まり場であり、俺はそこのトイレでふんばってた。猛然とふんばってた。
すると背後のドアに人の気配。
ガチャ、ガチャガチャ。
「入ってますー」
ガチャ、ガチャガチャガチャ。
いや、だから入ってるって。
ガチャガチャガチャガチャ、ガチャリ。
ん?
振り返る俺。
そこには見知らぬ男。「あ、すいません」
バタン。
わお、尻丸出し。後ろからだから完全無防備。
そう、俺は10年近い時を経て、見られる側から見る側に出世した。

なるほどね、こういう気持ちだったのか。